シックハウスを取り巻く動き

21世紀に入って建築に関連する法規等はまさに空前のラッシュ状況というほど新法施行、法改正及び関連の基準、告示等が行われています。
主なものを列記しても
建築基準法の大改正、住宅品質確保促進法新設、建設リサイクル法(廃棄物処理法等)新設、次世代省エネルギー基準、介護保険法新設、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者居住法)新設、ビル管理法改正、マンション管理法改正、ハートビル法改正、水道法改正、フロン回収破壊法、グリーン購入法等々、きりがないくらいです。
こうした中で、
「シックハウス対策の技術的基準試案」については平成14年7月5日成立、同年7月12日公布となりました。
1、シックハウス試案の概要 シックハウスとは室内化学物質汚染による健康被害とでも言うのでしょうか、広い意味ではダニ、カビによるアレルギー被害も含まれるとも解釈されているようです。
ただし、今回のシックハウス対策に関わる規制導入試案ではトルエン・キシレンなど揮発性有機化合物の中からクロルピリホスとホルムアルデヒドの2物質のみを規制し、その他の物質やダニ、カビに関しては広い意味での換気装置導入で対応しているような形になっています。
また、試案の内容で重要なことは建築基準法で規定する強制法規であるという事です。
この中で禁止された項目は当然守らなければなりません。
従ってその影響は大きく、今後の動向について注目しておく必要があります。
2、試案の要旨 試案では、
・クロルピリホスおよびホルムアルデヒドの化学物質を規制の対象とする事
・クロルピリホスの発散する恐れのある建材は居室を有する建築物には使用できない
・ホルムアルデヒドの発散する建材は、建築物の気密性の区分、居室の種類、換気設備の区分および建材の等級に応じて、内装仕上げに使用する面積制限を行う。
・建材のほか、家具からの発散などを考慮し、すべての建築物に常時換気ができる構造の換気設備の設置を義務付ける(ただし、在来木造住宅等の内気密性の低いものは除く)
・換気装置を設置した場合、天井裏等の下地材にもホルムアルデヒドの発散の少ない建材とするか天井裏等も換気できる構造とする。
以上が主な項目となります。

この表現から分かる事は建材の成分の規制だけでなく、家具等、後で室内に運ばれると予想されるものから発散する可能性を考慮して換気設備について明確に設置義務を生ずる事だと思います。 
3、対象物質の解説と主な規制値 @ クロルピリホス
 クロルピリホスは最近、ほうれん草等の農薬残留で話題になった物質で、過去には木材の防腐や防蟻剤等幅広く使われていた有機燐殺虫剤です。
 有機燐等の研究は第二次世界大戦中に神経ガスとして利用する為に研究で生まれた物質で、皮膚接触・経口摂取・吸入によって弊害を起こします。
 症状としては頭痛・筋肉の攣縮・衰弱・発汗・流涎・肺水腫で被ばくが重度の場合、意識消失・けいれんとなり最悪は死亡する事もあります。
 指針値の濃度は0.07ppb(小児の場合は0.007ppb)と極めて微小で建材への使用禁止ということになったと思われます。

Aホルムアルデヒド
 ホルムアルデヒドは、無色でツンとくる刺激臭のある気体で40%程度水に溶かし込んだ物がよく聞く「ホルマリン」です。
 フェノール樹脂・メラミン樹脂・ユリア樹脂等の樹脂、接着剤、塗料やホルマリン漬け標本等に代表される防腐・殺虫剤などに安価な事もあり、広く使われています。
 また、アルコールが酸化するとアルデヒドが生まれる事から自然にも発生する物質で木材のほか、りんご・梨などの果実類、きゅうりなどの野菜、鳥獣類、魚肉、きのこ類まで含まれています。
 ホルムアルデヒドの影響を調べてみると気中濃度(ppm)で0.2位では臭気を感じるが、すぐに慣れて感じなくなり、0.5で明らかに臭気を感じ、1〜2になると目・鼻への刺激、不快感を感じ、3では刺激になる苦痛、5〜10位で深部気道障害を招くと言われています。
 厚生労働省では平成12年にホルムアルデヒドの濃度指針値を0.08ppm以下と設定し、この数値に基づいて今回の基準が設定されたと思われますが、単に建材からの発散だけでなく家具など室内へ持ち込まれるものにも含まれている可能性を否定できない事から物質そのものの規制と共に強制換気装置の設定での室内換気回数について規制を加えたのではと思われます。
 以上が建築基準法関係のシックハウス対策技術的試案の主な部分です。今後の動きですが、具体的な部分の詰めについては平成14年末ごろ決まり、施行は平成15年7月になると思われます。